なぜ、洗濯表示が改正!?

現在の洗濯表示は、JISという国内の規格と、ISOという国際規格が混在していますが、これをISOの規格にJISを整合化させて改正することで、今ある問題に対応していくことになりました。これまでの表示では、非常にフワッとした情報しか書けなかったため、特に「着る人」「洗う人」にとって、衣類の取り扱い方法が曖昧で、実際に着る時や洗う時の現状に合っていないという問題がありました。

例えば、汗を沢山吸い込むような夏物の綿の白シャツに「水洗い不可」の表示がついているなど、首をかしげる表示が多かったのも事実で、実際に水で洗ってみても何の問題もなかったじゃん・・・。というのも多かったのです。

デザインや素材が多様化する中で、キチンとした表示が求められていますから、洗濯表示を改正することにより、これまでよりも衣類に合った洗濯方法が出来るはず!!と期待されているのです。(国際規格の「ISO」に整合化することで、グローバルな流通にも対応しやすいというメリットも出てきます。)

改正によって、これまでの表示よりも取り扱い方法がより明確になるはずで、服を作る側には、「着る人、洗う人に対する誠意が試される表示」となるのではないかと個人的には思っています。

新表示は大きく分けると5種類。

新しい表示は大きく分けると5種類の洗濯表示から成り立っていますが、消費者庁の出しているこのポスターがシンプルでわかりやすです。
img_4064
hyouji_poster画像:消費者庁ホームページ

(http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/laundry_symbols.html)より

左から、

①洗濯のやり方について

②漂白剤の使用について

③乾かし方について

④アイロンのかけ方について

⑤クリーニングについて

それぞれ表示されています。実際に服の表示に付く場合もこの順番に並んでいるはずです。

家庭での洗濯においては、①から優先度が高い

いろんな表示が増えちゃってよくわからないと思いますが、実はこれ「左から、あなたに関連度が高い順」に並んでいます。

なので、一番気にすべきは「①洗濯のやり方」について。家庭洗濯においてはここが最重要ポイントであり、スタートラインです。逆に言うと、「⑤クリーニングについて」はあなたにはほとんど関係がありません。⑤はプロ向けの表示であり、家庭での洗濯の際にはほとんど関係がありません。なので、洗濯しようと思ったときには、まず「洗濯のやり方の表示」に最大注目をして下さい。

まずは、洗濯オケに☓マークがついているのかいないのか?を見る。

これまでの表示は、「指示表示」と呼ばれる表示の付け方がされていましたが、これが非常に曲者でした・・・・。その服にとって良い洗い方というよりも、どちらかと言うと無難な表示になっている物が多かったのです。

まぁ・・・その表示の付け方で問題ないとされていたので仕方がないのですが、「表示の何を信じればいいのかわからない」という人も多かったのではないでしょうか??事実、僕のもとにもそういった相談は沢山寄せられました。これまでは同じ表示でもアイテムごとに非常に幅があり、実際に服そのものを見てみないとなんとも言えないということも多かったのです。

しかし、新表示では「上限表示」という表示の付け方になりました。

これはどういうことかというと、「これ以上の条件で洗ったら服がおかしくなるよ」というラインが表示されるようになったということなのです。これまでは、☓がついていても難なく洗えるものも混じっていて、全然☓じゃないじゃん!ということも多かったのですが、新表示では原則そういう表記は出来ません。なので、☓がついているものを洗濯すると、縮んだり、色落ちしたり、風合いが変わったりなど、ほぼ確実に服がおかしくなります。(逆におかしくならないなら、表示の付け方がおかしいということになる。)ですからこれからは「洗濯のやり方の表示に☓がついていれば、専門家(クリーニング店など)へ。付いていなければ家で洗える。」と明確に分けることが可能になります。

服を買うときにも、家庭洗濯可なのか?不可なのか??見る。

これからは服を買うときにも、まず「洗濯方法のマークに☓がついているかどうか」を見て、買うかどうか判断するようにするといいでしょう。汗をたくさんかく時期に肌に直接触れて着るものは、自宅でこまめに洗いたいですから、やはり洗える表示のものを買った方がいいです。逆に、コートなどは☓が付いているものも多いはずですが、そういったアイテムは本来こまめに洗うものでないのでシーズンに1回とか2回とかクリーニング出しながら大切に長く着ていく服だと判断しましょう。

どういう表示をつけるかによってどう着るか??が決まってきますから、洗濯表示を見ることによってそれを作った側の考え方が新洗濯表示からは透けて見えます。洗えるなら洗える。洗えないなら洗えないで、「なぜその表示なのか?」というところに明確な意志があるかどうかで、本当に着る人のことを思っているメーカーなのかどうなのか?が、新表示ではわかるのではないかと思います。日常で着る服におかしな表示がついていれば、それを作ったメーカーの信頼が揺らぐと僕は思います。

新・洗濯表示のポイントまとめ

●新表示は大きく分けると5種類。

①洗濯のやり方について②漂白剤の使用について③乾かし方について④アイロンのかけ方について⑤クリーニングについての表示。①から順にあなたに関連度が高い順並んでいるので、まずは、洗濯のやり方に最大注目

●上限表示になった。

新表示では、「これ以上の条件で洗ったら服がおかしくなるよ」というラインで表示されるようになったので、洗濯オケの表示に☓がついていれば、専門家(クリーニング店など)へ。付いていなければ家で洗える。と明確に分けることが可能になる。

●おかしな表示は作り手の信頼を揺るがす。

洗濯表示を見ることによってそれを作った側の考え方が、新洗濯表示から透けて見え、 「なぜその表示なのか?」というところに明確な意志があるかどうかで、本当に着る人のことを思っているブランドなのかどうなのかがわかる。

次回は、実際に洗うときの表示の読み解き方のコツを書きたいと思います。

訂正:表示のしかたを、「限界表示」と書いていましたが、正しくは「上限表示」です。お詫びして訂正いたします。


細谷クリーニング
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